トラベルマスターの「旅」&「海外」情報blog

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インド スラム街ツアー(強烈な経験)1話

インドで経験したことを書かせて頂きます。
あまりに強烈で、私の思い出に強くありますので、少し長くなるかもしれません。こまめに、時間がある時に読んで頂けると嬉しいです。

インドのムンバイは大分近代化してきましたが、少し現地調査をすると、まだまだ未開拓と未知の世界が広がっています。
スラムドックミリオネア”という映画を皆さんご存知でしょうか?

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映画のパッケージ

主人公にとっては普通にインドムンバイのスラム街で恋や仕事や家族や色んなことを経験しながら生き抜いていたが、知らない内に知力や経験が養われており、クイズに全問正解してミリオネアになる。という映画ですが、様々なことを考えさせられる人間ドラマで何だか生きる勇気を貰えるような映画です。


マスターはインドムンバイに仕事で行った時、コーディネーターさんのマヤンクが「スラム街ツアーに行きますか?好きな人も凄く嫌いな人もいるので絶対に良い。とは言えませんが。僕はあまり行きたくないのだけど、インドに来たら見て欲しい。という気持ちを持っています。」と遠慮がちに言ってきました。
特にやることも無かったので行くことにしました。

スラム街と言えば、汚いのかなあと思い、マスクを用意しましたが、コーディネーターさんは、もしかすると相手に不快感を与えてしまうかもしれないのでマスクは辞めた方がいいかな。と言いましたので外しました。(今もあれば、COVID-19のあるし、マスクできるかもしれませんね)

まずは、Mahim Stationに連れていかれました。
どうやらここが集合場所のようです。
待ち合わせの駅からフェンス越しにゴミ屋敷が地平線まで広がるスラム街が見えます。

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駅から見えるフェンス越しに見えるスラム街

こんな所に入っていくのかぁ。とちょっと嫌な気持ちになりました。

車が走る度に舞い上がる茶色の土埃に、湿気と高温の天気。太陽は空気が汚れているので雲が無くても濁って見えます。何の匂いかわからない、良いとは言えない生ごみっぽい匂い。
前を走っていくバスは超満員で、皆どこかボーッとして目に力がありません。
野良犬もやせ細り、灼熱の中、動きたく無さそうに仕方なく何か食べ物や水が無いか探し回っている。。
生きる気力を感じない。。。

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どこにでも野良犬が多い

「生きたい。なんて考えないのかな。希望なんてないんだもんな。」と思いました。この時までは。。。

集合場所のMahim Stationに、それとなくオーストラリア人やヨーロッパ人がリュックサックを背負ってそれっぽい感じの人達が集まってきた。自分達も入れて合計10名くらいだろうか。
待ち合わせの時刻を30分程過ぎたころ、どこからともなく裸足にボロボロのタンクトップを着た痩せたインド人が「行くやつは並べ!」的なことを叫んだ。
18歳くらいでとても若いが、ガリガリで衣服もボロボロ。しかしどこか堂々としている。

彼は、自分のことを「マティル」と言った。
続いて、彼は今度は強めに「早く並べ」と言った。(様に思う。)
インド独特の下を巻いた英語で完璧には聞き取れないが、明らかに強めに、少し苛立ちながら命令していることは分かった。

先ほどのオーストラリア人やヨーロッパ人、そして自分の日本人、インド人のコーディネーターのマヤンクは見事青空の元、横一列に並ばされた。

マティルは、全員の顔をじろじろと威嚇する様に見回した後、「これからルールを説明する。」と静かに言った。
「お前らがどこの国のやつだろうと、ここでは俺が一番偉い。だから俺の指示に従え。」

コーディネーターのマヤンクも少し緊張している様に見えるし、カースト制度でいったら明らかにマヤンクよりも身分が低いマティルの指示に従っている姿が何だか余計に不安にさせた。
今まで蒸し暑いくて仕方ない。と思っていたのに、そんなことは全く感じなくなった。

マティルの堂々とした雰囲気からか、未だ見ぬ未知の世界に行く緊張感からか誰も意義を唱えなかった。

マティルはしばらくまた皆を黙って見回した後、「付いて来い。」というジェスチャーをして先を歩きだした。マスター達一同も黙って彼に続くことにした。

行先は勿論あのスラム街の方向だ。。(続く)