インド スラム街ツアー(木の上のパソコン教室)3話
やっとマティルがすっかり怯えた10人の方に振り返って説明を始めた。
家と家の間隔が開けて少し緊張が解けた。
さっきまでは、いつ横からかっさらわれても誰も気づけない様な狭くて暗い小道を歩いてきたからだ。
こんな所で殺されたら絶対に発見されないだろう。。。
そう思うと、本当にマティル頼みになってきた。
「ここがパソコン教室だ。」
マティルが両手を広げた。
そこにはゲゲゲの鬼太郎の家にそっくりな場所があった。
「部屋が混んでるから3人づつのぼって中を見てみろ。」
と相変わらず上から口調で我々に言った。
本当に驚いた。
小さい子たちがブラインドタッチで何かを入力するのに没頭している。
電源はタコ足配線で絡まりまくっているが、子供たちが黙ってPCを使うことに没頭している。
スラム街てこんななの?
電気も何もなくて、てイメージであったが、有料放送を見て、PCを学んでいる。
もっと言えば、日本よりももっと小さい頃からPCを操作している。
おぉいえば、インドのエンジニアってめちゃくちゃ多いよなぁ。でも彼らがスラム出身とは限らないし、国がそういう雰囲気なんだろう。
マティルは「俺たちは2、3か国語と数学、そしてITの分野もimproveしようとしている。世界に出ていくんだ。」と誇らしげに言った。
なんだか言葉が出てこなかった。
この胸の中の内はなんなんだろうか。
マティルが言うように、言葉も話せて、OTも使いこなして。。。でもなんで世界でそんなに評価されていない様な気がする。
なんなんだろう。
マスター個人的な思う所は、この絡まりまくったタコ足配線にヒントがあると思った。
彼らは整理整頓をしないのだ。
話し方も、整理されていないので、いちいち会話が長い。
余計な話しが多い。
そういうちょっとしたことから少し世界と感覚がズレているのかもしれない。
でも、彼らは未来を見ている。
それもとてもグローバルに見ている。
マスター達が思い描いた失望に塗れたスラム街はそこにはなかった。
スラムにある希望と教育と技術。
一同はどんどんマティルの話しにのめり込んでいった。